以上、以下、未満など、範囲を表す言葉の区別と使い方。~こんなにも知らない人がいるなんて思わなかった~

範囲を表す言葉の区別と使い方

先日、質問サイトにちょっと信じられない質問を発見しました。

「〇〇以上は〇〇も含まれますか?」というような内容でした。

以上、以下、未満という範囲を表す言葉は小学校で習っているはずであり、日本で義務教育を受けた成人なら誰でも知っていると思っていました。

ところがネットで検索してみると、意外にも曖昧にしか理解していない人が結構いるんだなぁと感じました。

そこで、以上、以下、未満など、範囲を表す言葉の区別と使い方を図解入りでわかるようにまとめてみました。

起点と範囲

[以上、以下、未満、超えるの起点と範囲のイメージ]

以上、以下、未満、超えるの起点と範囲のイメージ

[起点と範囲の表]

言葉範囲記号
N以上Nを含む≧ N
N以下Nを含む≦ N
Nを超えるNを含まない> N
N未満Nを含まない< N
  • 以上、以下は基準・起点となる数量を含みます。
  • 未満は基準・起点となる数量を含まない。
  • 超えるは基準・起点となる数量を含まない。

以上、以下、未満、超えるの使い方

基準となる数量を含む表現
「体重60kg以上は…」、「5m以上の距離を取って」、「高さ5m以下の場合」、「5000円以上お買い上げの方は送料無料に…」など

基準となる数量を含まない表現
「高速道路では時速100キロを超える速度で走行すると…」、「18歳未満の方は入店をお断りしています」など。

曖昧な表現には気を付けよう

「より、から、まで」は、起点となる数量や単語が含まれるか含まれないか、人によって認識が違う事があるので注意が必要です。

「より」の使い方

「~より」は起点や範囲の中から選択するという意味で使われる事があります。

〇〇より大きい、〇〇より上
〇〇より小さい、〇〇より下

数学的な表現では、基準となる数量は含みませんが、文章表現の場合は基準となる数量を含む場合があります。

数学的な表現

A > B

「A > B」は、AはBより大きいことを表し、基準となる数量Bは含みません。

文章表現

例1.3階より上の階の人は…

このような表現をした場合、「4階以上の階の人は」というよりも「1階、2階の方は含まれない」が、3階は含むという意味で使われることがあります。

例2.以下より1つお選びください。

以下が含まれます。
厳格に表現する場合、以下の中から1つお選びください。と表現した方がいいです。

例3.〇〇サイトより抜粋

〇〇サイトを含みます。

例4.通常より安く

通常を含まない。例えば、通常5000円だとすると4999円以下の値段。

「より」の使い方は難しく、数字や状態を基準にして使う場合は基準を含まなく、場所、位置を基準にして使う場合は基準を含む使い方をする事があります。

「から」、「まで」の使い方

「から」、「まで」は、時間や場所の範囲を表す場合に使われます。

〇〇から

例.午後1時から会議を始める。

午後1時も含まれます。

〇〇まで

例1.午後3時までに資料を提出。

午後3時ジャストが含まれます。

例2.午後5時まで図書室にいました。

午後5時ジャストが含まれます。

〇〇から△△まで

例1.東京から大阪までの区間

東京と大阪を含む範囲の区間。

例2.1から5までの数字

1と5を含む範囲の数字。

例3.営業時間は9時から12時まで、お昼休みは12時から13時まで。

12時ジャストは営業時間内であり、お昼休みでもあります。確実に言えるのは1秒でも過ぎればお昼休み。逆に11時59分59秒は営業時間内です。

たかが前後1秒の差です。このように曖昧な表現でも問題にならない場合はいいのですが、この曖昧さが問題になるような場合は厳格に表現する必要があります。

例えば、

バージョン6までは…、バージョン7からは… など。

上の例のように数学的には起点となる数値や単語が含まれますが、営業時間の例のように重ねた使い方をすると曖昧さを作る事になり、これが問題になる場合があります。

また、「12時まで」という表現も人によって12時を含めるか含めないか認識が違う事があるようです。

まとめ

「より、から、まで」は、起点となる数量や単語を含めるかどうか、その時々で変わってきます。この曖昧さから人によっても理解が違うようです。

さらに、冒頭で説明したように、「以上、以下、未満、超える」といった明確に決まっている事でさえ、曖昧に理解している人もいます。

このような事から、「より、から、まで」は、起点となる数量や単語を含む・含まないが問題にならない場合はいいですが、曖昧な表現が原因となり金銭トラブルや賠償問題に発展する可能性が考えられる場面では明確な表現をすることをお勧めします。

法令や規約の記述、他者/他社などと約束をする場合は曖昧な表現を使わずに、「以上、以下、未満、超える」といった表記を使いましょう。

また、「何時まで、何日まで」と表現を使う場合にも、人によって認識が違う事があるので「9月10日までに」は9月10日を含むのか含まないのか、含む場合は9月10日の何時までなのか相手に確認して意識合わせをすることをお勧めします。

余談ですが、深夜0時、午前0時を深夜24時と表現したり、「9月10日の深夜2時は9月10日の午前2時の事なのか、9月10日の27時、つまり9月11日の午前2時の事ですか?」と相手に確認して意識合わせをしておかないと、「今夜来る予定なのにまだ来てない!」、「訪問したのに誰もいなかった。」という事になりかねないです。よくある認識の相違です。注意しましょう。

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